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お知らせ

【事例紹介】現代版組踊で子どもたちの成長機会をサポート〈一般社団法人 島人Lab〉

REPORT / 2026.03.18

今回は、島人Labさんの活動をご紹介いたします。

一般社団法人 島人 Lab
代表理事 下村 一裕さん
南島詩人・演出家 平田 大一さん

私たちは、沖縄本島全域の子どもたちが、舞台を通じて郷土を学び、うまれ育った土地に誇りを持つことで地域の活性化に寄与し、舞台演出という感動体験を通して、次世代を育成することを目的に活動しています。

具体的には、現代版組踊を活動の軸とし、沖縄を中心に子どもたちの成長機会をサポートし ています。

現代版組踊とは、沖縄の伝統芸能「組踊」の様式をベースに、現代的な音楽・舞踊・セリフの3つの要素で構成された舞台様式です。

1999年、沖縄県うるま市(旧勝連町)での現代版組踊「肝高の阿麻和利」の初演をきっかけに誕生し、中高生を中心とした地域の子どもたちが演じ、地域の大人たちが出演者を支える、子どもと大人が参画する活動です。

地域の歴史や伝承、史跡、人物を題材にすることで地域の宝を掘り起こし、青少年の人材育成と地域おこしを目的としています。


<活動目的>

コミュニケーション能力を向上させ、できないをできるに変える人間力を身につける「自らを知る」舞台づくりによる感動体験を通し、自ら考え行動する次世代を育てる。

「視点は郷土」演じる者、観る者が生まれ育った歴史・文化・風土を学び、自らの人生を考える視 点の根っこに「郷土」を置く。

「地域に生きる」新しい文化創造により、新たな産業が生まれ、新たな雇用と生き方(選択肢)を生む。

障がいの有無や家庭環境などによって隔たれない「インクルーシブな舞台づくり」によって、さまざまな環境にある子どもたちに成長の機会を提供する。


<主な活動内容>

島人Labを立ち上げたきっかけは、福島県・会津でガイドツアーなど環境観光業を営んでいた下村と、現代版組踊の生みの親である平田氏との出会いです。

下村が活動している地域は人口がとても少ない山間部にあり、少子高齢化などの課題を抱えていました。

小浜島出身の平田氏は、小さな島の観光や交流などに尽力していたので共感する部分があり、福島に招いて講演会を開いたことをきっかけに、沖縄県外で初の現代版組踊を作ったのが始まりです。

福島で現代版組踊を作った当初は、観光誘致が目的でした。福島にはおいしい水があり、自然に恵まれた素敵な場所なのですが、海外の方に「そのような魅力的な場所は日本各地にある。福島でないと見れないものはないのか」と言われてしまいました。

福島にはいろいろな魅力があるはずなのに、それを生かしきれていない環境に疑問を持っていました。同様に、平田氏の産まれた育った島も何もない場所で、 だからこそ、それに演出をして価値をつけていくという考え方に共鳴しました。

それぞれの地域が持つ魅力を掘り起こしたコンテンツが現代版組踊です。多くの人が見て感動し、子どもたちの成長の場にもなり、経済を回して地域にも貢献する「感動産業」を興すことを目指しています。

現代版組踊というコンテンツが全国に広がり、「現代版組踊推進協議会」も設立できました。沖縄の子どもたちと県外の子どもたちが、お互いの舞台に出演しあったり、交流する機会を持つことができています。

沖縄の子どもたちが雪国に行ったり、県外の子どもたちが暖かな沖縄に来ることで、それぞれの土地の人たちの生活、立場、考え方を感じる機会にもなっており、小さい頃からさまざまな地域の人たちと交流し、違いを感じながら成長していった子どもたちが社会を構成する時は、きっと良い世界になっていくのではと考えています。

社会を元気にするためには、若いうちからいろいろな経験をすることも大切だと思っています。

私たちは、2015年から毎年、沖縄各地で「現代版組踊『鬼鷲(うにわし)〜琉球王尚巴志伝』」を上演しています。

2026年2月に行った公演は、感動体験の格差をなくすインクルーシブな舞台にチャレンジし、県内の児童福祉団体や特別支援学校の子どもたちがワークショップや舞台に参加しました。

最初は端っこにしかいられなかった子どもが、舞台の真ん中で踊れるようになったり、堂々とセリフを話したり、目覚ましく成長する様子を目の当たりにしています。

もちろん舞台に立つと緊張はするけれど、音楽が鳴ると自然に体が動くようになるまで、根気強く繰り返し練習を重ねてきました。

沖縄の子どもたちは小さい頃から音楽が身近にあって、三線が鳴ると自然にカチャーシーを踊ったり、エイサーの音を聞いたらチムドンドンする感覚と同じだと思います。

けれども、地域のお祭りや行事の中で育まれてきた感性が、どんどん都市化していく現代においては、その感覚も失われつつあります。だからこそ、現代版組踊という新しいお祭りを作って、その中で子どもたちを育み、文化をつないでいくことがテーマでもあります。

また、初めて舞台手話通訳を取り入れました。舞台の手話通訳は通常1人ですが、組踊は歌と踊りと芝居で構成されているので、「手話語り(しゅわがたり)」と「手唄者(てぃ〜うたしゃ)」の2人が手話で演技と歌を伝えました。

舞台を観る人も、舞台に立つ子どもたちも、全ての人に感動体験の種をまく インクルーシブな舞台を実現できたのでは思っています。

新しいチャレンジをするには、演出にもさまざまな工夫が必要です。今回の舞台の成功した点や改善点、反省点を踏まえて、さらに成長した舞台を作り続けていきたいと思っています。

私たちが活動する中で、舞台で輝いている子どもたちはもちろんですが、それを支える大人たちもとても重要です。

「肩車の法則」と呼んでいますが、子どもたちを肩車すると大人の目線よりも高くなり、それで見えるものがあると思います。これを実現するためには、どんどん成長していく子どもたちを肩車するために大人も成長しなくてはなりません。

子どもたちの成長に負けないよう、大人も共に成長していく団体であり続けることが大事なポイントだと思っています。

今後は、ここまで作り上げてきた「感動産業」を継続させ、しっかりと根付かせていくことが大切です。

きちんと収益をあげる観光、伝統文化をつないでいくこと、子どもたちの教育を通してこの国の未来を開いていくこと、この3つが合わさった継続可能な感動産業を育てていきたいです。

【一般社団法人 島人Lab】
○所在地:〒902-0078 沖縄県那覇市識名1206-1
○TEL:090-9780-8887
○公式サイト:https://shimancyu.jp/


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おきなわSDGs プラットフォーム事務局|E-mail: platform[@]okinawa-sdgs.jp