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お知らせ

【事例紹介】DTM人材の発掘と育成事業に取り組む <DTM オキナワ>

REPORT / 2026.03.17

今回は、DTM オキナワさんの活動をご紹介いたします。

DTM オキナワ
主宰 安田 陽さん

DTM オキナワは、ベテランミュージシャンと子どもたちが共創活動を行う音楽制作チームです。

沖縄で活動するベーシスト・安田陽と、宮古島出身のアーティスト・下地イサムが主体となり、2023年に活動を始めました。

DTM とは「デスクトップミュージック」の略で、デジタルツールによる音楽制作の総称です。パソコンなどのデジタル機器と専用アプリを使って、自宅の机の上で、たった1人で、作曲や編曲、歌や楽器の録音や編集など、本格的な音楽制作を楽しむことができます。

DTM はプロの制作現場では当たり前に使われている方法で、レコーディングスタジオには必ずパソコンがあり、それを使って録音や編集をする仕組みが確立されています。

最近では、スマホやタブレットでも気軽に DTM ができるので、「ボカロアーティスト」などのように、デジタルデバイスを使って音楽を作るという文化が若い世代にも普及してきています。

△iPhone や iPad で使える無料DTMアプリ「GarageBand(ガレージバンド)」

私たちはふだん、放課後等デイサービスや学校、子どもたちが集まるNPOさんなどでも音楽教室を開催しているのですが、そのような場所で子どもたちの様子を見ていると、リズム感がとても良いと感じる場面が少なくありません。
恐らく沖縄民謡やエイサー、琉球舞踊などが小さい頃から身近にあるためではないかと思います。

そのように、DTM についても小さい頃から身近に感じられる環境を整えることで、沖縄の子どもたちの音楽創作活動を応援できるのではと考え、彼らを対象にした DTM のワーク ショップやコンテストを開催することにしました。

DTM は、楽器を演奏できなくても、楽譜が読めなくても、曲を作って発表できることが魅力です。

iPhone や iPad には「GarageBand」という専用アプリが最初からインストールされていて、誰でもすぐ始められるのですが、少し慣れないと使い方がわかりにくく、諦めてしまう人が多いのです。

そこで、 自主イベントだけでなく学校やお仕事体験会などでも DTM ワークショップを開催しながら、最初の一歩を踏み出すお手伝いをしています。

△国頭村立安田小学校での作曲教室の様子

△豊見城市で開催されたお仕事体験イベントに参加

沖縄では、民謡や古典など地域に伝わる文化芸術を若者に継承しようという取り組みが盛んですし、県立芸術大学のような専門教育機関もあります。けれども、現在の音楽制作現場に必須の DTM に関しては、若い人材を発掘・育成する仕組みはありませんでした。

そこでまずは、DTMに興味を持っている子どもたちが県内にどのくらいいるのか、また、実は埋もれている若い DTM人材が県内にも少なからずいるのではないか、といった部分の実態を把握したいと思い、2023年に第1回目の DTMワークショップとコンテストを開催しました。

この時のワークショップは、計5回開催して毎回30人以上が参加、コンテストには16人・44 曲の応募がありました。

第2回 (2025年)のワークショップには約60人が参加し、コンテストには35人(組)・78曲の応募がありました。

△「第 2 回中高生 DTM 作曲コンテスト沖縄」決勝大会にて

私たちのDTMワークショップの入門編では、初めてDTMに触れる子どもたちもすぐ親しめるように、難しい理論はすっ飛ばして、アプリにあらかじめ入っている音の素材を組み合わせて「なんちゃって作曲」をしたり、簡単な曲を自分で打ち込んでみる体験をします。

DTMならドラム、ピアノ、ギターなどいろいろな楽器の音をすぐに出せますし、音楽の知識がなくても、実際に楽器が弾けなくても、なんちゃって作曲ならセンスだけですぐに曲作りを体験できるので、子どもたちからも「楽しかった」という感想を多くいただいています。

ちなみにですが、コンテストには石垣島や宮古島など離島の子どもたちからの応募もありました。

離島でも民謡や舞踊などの伝統文化・芸術は盛んですが、DTMのワークショップはまだ私たちも開催したことがありません。ですが、子どもたちはYouTubeでレクチャー動画などを見て、自分で勉強しながらDTMアプリを使いこなしているんですね。
そういう意味でDTMは地域格差が起こりにくく、また周りに音楽をやっている友だちがいなくても一人でチャレンジできる。つまり住んでいる場所がハンディになることはないんです。

実際に、沖縄に住みながら東京の大きな仕事を請けて大活躍しているDTMクリエイターさんもいらっしゃいます。

いま私たちは、過去のコンテストに参加してくれた子どもたちとオンラインコミュニティツールでやり取りしているのですが、離れた場所に住んでいてもリアルタイムで情報や意見を交換できるのがとても良いですね。

また、お互いに自分のオリジナル曲をそこで発表したり、共同楽曲制作の際もそこで曲のデータを交換したりと、デジタルの恩恵を受けながらDTMオキナワのコミュニティを運営しています。

△DTM オキナワのメンバーたちと

私たちが取り組むテーマのひとつは、コンテストを通じて県内の若く有能なDTM人材を発掘するだけでなく、彼らの活躍を後押しすることです。

コンテストに入賞した子どもたちとは、企業のCMソングやサウンドロゴ、イベントで使われる曲などを一緒に制作していて、実績も少しずつ増えてきました。

このように、子どもたちが DTMクリエイターとして活躍できる場を作り、広げていくことが私たちの大きなミッションです。

その視点で、今後はDTMオキナワの協賛企業さんに加えて、一般の企業さんや一般の方からの作曲やアレンジのお仕事も積極的にお請けしたく、受注活動を強化しています。

△沖縄JTB主催「杜の賑い沖縄」のウェルカムミュージックを学生たちが作曲

ふだんから自分でDTMに取り組んでいる子どもたちは、特に音楽を専門的に習った経験があるわけでもなく、自身のセンスで音作りしていることが多いと思います。それはとても素晴らしいことなのですが、その彼らのセンスに、DTMを自在に使いこなすためのプロのノウハウや音楽理論といった専門知識がさらに加われば最強になると思います。

そう考えると、県内にいながら受講できるDTMスクールのような仕組みも必要かもしれません。

また、今後も引き続きDTMに興味のある県内の子どもたちとより多く繋がりたいです。

幸い今回この事業が「沖縄県文化芸術振興基金」に採択されたので、令和8年度は沖縄本島だけでなく離島でもワー クショップを開催します。

DTMは非常に大きな可能性を秘めていると実感していますので、これからも子どもたちとの出会いを大切にしながら、DTMを通じて皆さんの可能性を広げるお手伝いをしていきたいです。


ワークショップや第3回コンテストの詳細は、DTM ホームページをご覧ください

【DTM オキナワ 】
○TEL:090-6856-5348
○公式サイト:https://dtm.okinawa/


【「おきなわSDGs プラットフォーム」に関する問い合わせ】
おきなわSDGs プラットフォーム事務局|E-mail: platform[@]okinawa-sdgs.jp