今回は、株式会社 南都さんの活動をご紹介いたします。
株式会社 南都
(右)
玉泉洞再開発プロジェクトチーム 課長
大岡 素平さん
(左)
営業本部 主任
比嘉 雅和さん

■沖縄初の有料観光施設「玉泉洞」の始まり
株式会社南都は、県民はもちろん、多くの観光客が訪れる県内最大級の観光テーマパーク「おきなわワールド」を運営しています。

玉泉洞の始まりは、1967年に行われた洞窟調査です。愛媛大学学術探検部による第4次琉球列島学術調査では、昆虫調査や民俗調査などのほか、当時、宇和川濠と呼ばれていた洞窟の調査も行われました。創業者・大城宗憲氏は、この洞窟の素晴らしさに感銘を受け、沖縄初の有料観光施設「玉泉洞」を立ち上げました。
大城氏は、産業基盤に乏しかった当時の沖縄を豊かな島にするためには、まだ誰も手掛けていなかった観光産業を興す必要があると考えていたそうです。県外資本に頼らず沖縄で出資者を募り、米軍統治下での開園にこだわり、本土復帰直前の1972年4月28日に「玉泉洞」を開園させました。

玉泉洞の全長は5000mありますが、観光洞として一般に公開しているのはその一部890mです。観光洞以外は自然のまま残して管理し、開園当初から沖縄の自然を守るスタンスでした。創業当時を振り返ったインタビュー記事(1981年・「沖縄春秋」第54号)で大城氏は「本来、観光とは原型的に異質な世界の探求であり、安全で楽しみながら実物で学ぶ行為である」と提唱しており、沖縄の観光産業が盛んになっていた1981年当時は「残念ながら現状は、沖縄の恵まれた自然を十分に活用することなく、自然を放置してあるだけでなく、むしろ自然という資源を食いつぶしている感じがある」と警鐘を鳴らしていました。
大城氏の思いは「旅は知性の源であり郷土を現し郷土に奉ずる」という社是や、「観光資源は自然を克服するのではなく育むことによって調和がとれ生きてくるものである」という社訓にも表れています。本物の自然や文化、地域の産業を守りながら観光のベースに生かすという企業理念に基づき、まだSDGsという言葉がなかった時代から、地域に埋もれていた自然・文化を観光産業へ生かすことで守り育て発展させ、地域へ還元していく事業に取り組んでいます。
■SDGsへの具体的な取り組み
【持続可能な開発・発展・教育】
社是・社訓に基づき、沖縄独自の自然・歴史・文化など、地域資源の価値を磨き、伝えることを使命としています。
❶おきなわワールド、ガンガラーの谷、アスムイハイクス(旧・大石林山)をはじめ、人知れず眠る地域資源を活用して事業化することで雇用を創出し、社会経済へと貢献しています。また、ガイドツアー商品を展開することで、ガイドが参加者へ地域資源の価値を直接伝え、参加者の関心や理解を深めています。
❷武芸洞遺跡、サキタリ洞遺跡(ガンガラーの谷)では、継続的に県立博物館・美術館による発掘調査が行われて、世界的にも重要な発見がなされています。毎年調査が終わる時期には現地で見学会を開催し、県民を中心に教育普及活動を実施しています。
【環境保護活動】
沖縄の自然を未来へ継承していくために、設備投資による省エネ化や、県内企業などと連携して環境保全活動に取り組んでいます。
❶2011年、サンゴ焙煎コーヒー豆を使用した「35リキュール泡盛珈琲」の製造・販売を行い、商品売り上げの3.5%を沖縄県内のサンゴ再生支援金に活用しています。
❷2015年、おきなわワールド施設内の照明設備のLED化や太陽光パネル設置などを実施してCO2を削減することで、県内企業として初めて「J-クレジット制度」の認定を受けました。認定後も、玉泉洞内の照明をLEDに入れ替えるなど、継続的に省エネ化に取り組んでいます。
❸2019年、商品の梱包などで使用して廃棄していた段ボールを、ノートやレターセットなどへ再利用する企画を県内アーティストと連携して商品化しました。本製品の製作は、就労支援センター(南城市)、障害支援センター(那覇市)と協働で行っています。
【文化の継承(伝統芸能・伝統工芸)】
社是・社訓に基づいた取り組みをしています。
おきなわワールドは、沖縄県から「みなし登録博物館」の指定を受けています。先人たちから継承されてきた郷土沖縄の伝統芸能(エイサー)や伝統工芸(琉球ガラス、紅型、機織りなど)を事業化することで、雇用を創出し、また技術や経験を伝承していくことで持続的に人材を育成し、文化を未来へと継承します。

【子どもの貧困対策】
「沖縄こども未来プロジェクト」の活動に賛同し、2016年の同プロジェクト開始当初から、法人サポーターとして継続的に寄付を行っています。
■沖縄の歴史・文化・自然を体験するSDGsプログラム
「おきなわワールド」では、鍾乳洞の保全活動・生態系の維持、環境調査などに取り組んでいる活動や、沖縄の伝統文化、工芸などについて学ぶSDGsプログラムで、さまざまな体験、学びを提供しています。
琉球王国時代から縁起物として親しまれ、一度は戦争で途絶えた沖縄の幻のお茶「ブクブクー茶」について学んだり、中学生・高校生を対象にした「おきなわワールドのSDGs体験プログラム」では、「地下水の有効活用」をテーマに、身近な課題、目標設定、課題解決に向けて、グループディスカッションを行います。ワークショップでは、沖縄の社会課題からSDGsについて学び、カードゲームをしながら、課題解決思考を育てます。

今後も、当社の企業理念を大切にしながら、地域に埋もれている自然や文化の価値を再発見して、社会へ還元していきたいと思っています。

株式会社 南都
所在地:〒900-0013 沖縄県那覇市牧志1-3-24 南都ビル
TEL:098-867-0020
WEBサイト:https://www.nantocorp.com/