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お知らせ

マース(塩)づくりを通じた人々のすこやかな暮らしと環境の実現

REPORT / 2024.02.27

シママース本舗 株式会社 青い海 
経営企画部 部長 神蔵岳紘さん

■沖縄でいちばん永く愛されてきたマース

 株式会社青い海は、食塩、スパイス、砂糖の食料品製造、販売をする企業で、2024年2月2日をもって創立50周年を迎えました。四方を海に囲まれた沖縄では、美しい豊かな海からつくり出された塩を「マース」と呼び、大切に受け継いできました。沖縄の本土復帰後、「マース」を復活させるという強い信念をもって創業し、それから50年にわたってこだわりの「マース」をつくり続けております。

 私たちは、味・品質(食品安全)・環境・想いの4つの要素が合わさって‟おいしい”を構成していると考えています。環境については、そもそも安心して食事ができる環境でなければ‟おいしい”とは感じられないと考え、SDGs宣言を掲げて様々な取り組みをしています。

 当社は沖縄の海の恩恵と地域の皆様のご支援に感謝し、「おいしい」を創造・提供する企業として、SDGsの達成に寄与できるよう、社会の持続的発展や人と社会と地球につながる安心で豊かな地域社会の実現に貢献します。

■SDGs・ESG経営をサポートする「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)」等によるCO2の削減

 前述の会社の発祥のとおり、株式会社青い海は地域に貢献したいという思いが強く、SDGsを意識するよりも前から、CO2削減に積極的に取り組んできました。塩を製造する工程において燃料を多く使うことへの課題意識から、釜の変更時期のタイミングでCO2削減に向けて大きく舵を切り、今回PIF※1という方法により実現に至りました。(株式会社商工組合中央金庫がアレンジャーを務め沖縄銀行・琉球銀行・鹿児島銀行・沖縄開発金融公庫の5行で組成したシンジケートローン※2により、沖縄ではじめてPIFを締結することが決定)

 経済活動と社会・環境へのポジティブな影響を同時に追求することを可能とするPIFを活用して、当社は、シママース本舗の工場をリニューアルし、塩の製法をこれまでの平釜から立釜に変更します。シママース本舗では、塩づくりのための主要燃料として、LPガス(ボイラ)+バイオディーゼル(バーナー)を使用してまいりました。この度のPIFによって導入される新設備によって、LPガス(ボイラ)については10%以下の使用率、バイオディーゼル(バーナー)に至っては使用をストップし、大幅なCO2の削減を実現させる(25%削減)と同時に、省エネルギー化を実現できます。

 その他にも、当社は、糸満市浄化センターや複数の企業・団体と連携し、工場敷地内に発電システムを設置し、バイオガスを利用した発電事業への協力を行っています。この発電システムで作られる年間約300世帯分の電気は、糸満工業団地に供給され、廃熱をシママース本舗の生産工程で利用することでCO2の削減を図っています。また、塩づくりで欠かせない濃縮工程において化石燃料から食用廃油への切り替えを行い、従来型燃料の使用量を削減しています。

             写真:立釜のイメージ図

■シママース本舗 SDGs宣言

 当社ではこれまでも再生可能エネルギーの活用、美しい海を守るためのビーチクリーン活動、そして働きやすい職場環境の構築を行なっていました。これらの活動はSDGsの目標とリンクしているものが多く、当社のこれからの事業活動とリンクした目標を「シママース本舗 SDGs宣言」として定めています。

 そのうちの一つとして、沖縄タイムスが主催し「こどもの貧困を解消するため学校の入学金を補助する等の活動」を行う“沖縄こども未来プロジェクト”に継続的に寄付支援活動を行っています。また、寄付で広く支援することと、近くで目に見える形で支援することの、両輪での支援が重要という考えのもと、近隣の子ども食堂への支援も行っています。子どもの貧困率ワースト1の沖縄県において「食」を通じ、子どもたちへ「おいしい未来」を提供すべく、自社製品を子ども食堂に無償提供することに加えて、会社幹部を中心に毎月2回、糸満市児童館及び民間ボランティア団体に対し、調理補助等の役務提供を行うとともに、子ども会費・物品の寄付や、食事提供を実施しています。

 その他にも、沖縄の海水を製品資源としているシママース本舗では、ビーチクリーン活動として近隣ビーチや護岸を計画的に清掃してきました。年1回、全従業員で近隣ビーチを当社主催で清掃しており、最近は、前述のこども食堂の関係者などの地域の人とも協力しながら清掃しています。また、市民がいつでもビーチクリーン活動に参加できるようプロジェクトマナティ活動※3に協賛、窓口としての役割を果たしてきました。

 沖縄・糸満沖合約2,000mから取水した海水だけでつくるマース(塩)は、豊かな海の結晶と言えます。私たちは沖縄の海の恩恵に感謝し、自然環境の保護に努めています。塩生産の不純物として残る石灰やフィルターでろ過された砂は、シママース本舗の生産活動と併せて生じる廃棄物といえますが、いずれもごく少量であり、適切な廃棄物処理を施しています。

 写真左:子ども食堂での活動の写真   写真右:ビーチクリーン活動の写真

■「沖縄から”おいしい”の起点に」

 株式会社青い海は、沖縄県庁が認証する「おきなわSDGs認証制度」の第1回認証団体として、認証されました。「沖縄から”おいしい”の起点に」をパーパスとして、誰もが「おいしいね」と笑いあえる、人々のすこやかな暮らしを、環境を、作りたいと願っています。

 また、パーパスのとおり、自分たち起点で、周りの企業に影響を与えていく、発信していくという気持ちを持っています。シママース本舗単体で歩むのではなく、地域の皆様や他企業様と共に、よりよい社会構築の道のりを創り上げていくものと信じています。

※1 ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF):環境や社会へのポジティブな影響をもたらすための融資を意味する。再生可能エネルギーの活用や環境に配慮した経済活動など、SDGsに貢献するプロジェクトや企業に対する融資が主軸となっており、経済的なリターンだけでなく、環境的・社会的なリターンも考慮する新しい金融形態の1つ。

※2 シンジケートローン:複数の金融機関が、一つの融資契約書に基づき同一条件で、借入人に融資を行う資金調達手法。参加金融機関をアレンジャー(幹事金融機関)が募集する。借入人には、アレンジャーに対する手数料(アレンジメントフィー)が発生する。

※3 プロジェクトマナティ:いつでもどこでも気軽にビーチクリーン活動に参加できるプロジェクト。地域のパートナー(カフェ、共同売店や民宿等)にマナティバックをはじめとした清掃グッズが常備してあり、参加者が500円を支払ってゴミ拾いセットをレンタルし自由に清掃活動を行った後、パートナーが適切にゴミの処理をしてくれる仕組み。

株式会社 青い海

所在地:本社 〒901-0306 沖縄県糸満市西崎町4-5-4

ホームページ:シママース本舗 – 沖縄の言葉で塩を意味する「マース」。じっくりゆっくり作られた私たちのマースは優しく、まろやかで、料理の味に奥行きを与えます。 (aoiumi.co.jp)